都史紀要10 東京の大学

はしがき

本稿は、幕末・明治初期から二十年ごろまでに開業した私学で、その後専門教育施設となり、現在大学と称しているものについて、創設当時の記録その他の史料を収集し、私学専門教育の実態をあきらかにしようと試みたものである。おもに、東京府へ提出された開学願書その他の報告文書によったから、校史に記述されていても、旧東京府文書に残っていないものについては付言するていどにとどめた。

これらの私学で、比較的創業のはやかったものについては、二十年ごろまでに散見する学制の改変、校主、教員の異動などについても、できるだけ収録し参考に供した。

本稿では、法文系のものに限ったが、短期大学はのぞいた。また、二十年ごろまでに創設された女子教育施設で、いま大学になっているものについては、「東京の女子教育」(都史紀要九)で一応ふれたので、ここでは省略した。

なお、理工系、農学系、ないし医薬系の私立大学については、別の機会に、創業当時の文書を収録して紹介したい。

本稿の編さんは手塚竜麿が担当した。

昭和三十八年一月
都政史料館


※本書に引用した史料には個人の履歴が多く見られますが、学術研究上等、本書の利用に際しては、人権擁護面に十分留意くださるようお願いいたします。 平成四年二月 東京都公文書館

東京の大学 目次

はじめに(1)
大学という名称(1)、私立大学の母胎となったもの(4)
開学願書その他にみられる報告様式(8)

英学を中心に発達した大学(2)
慶応義塾大学(12)
明治六年の蘭学願書(13)、明治十六年の開申書(36)
記録にのこる外人教師(40)
立教大学(59)
立教学院の発祥地(60)、明治十二年の開業願書(61)
記録にのこる教師達(65)
青山学院大学(69)
耕教学舎の開業願(71)、東京英学校の開学(76)
東京英和学校の成立(83)、明治十七年八月の教則改正(94)
内外人教師の異動(108)、その後の東京英和学校(127)
明治学院大学(128)
英和子傭校の設置願(129)、明治学院の成立(140)
英和予備校との合併(164)、幹事の交替と明治英学校の開学(165)

法律学を中心に発達した大学(170)
専修大学(175)
最初の開業上申書(175)、明治法律学校明細書(185)
五十号布達による開申書(192)、特別監督についての記録(194)
予備科の設置(196)
法政大学(198)
東京法学校の開学(198)、東京仏学校の開学(204)
和仏法律学校の成立(211)
早稲田大学(211)
東京専門学校の開学願書(211)、理学科の願書(223)
予備科の新設・英学科の改定(226)、校長の更迭(232)
特別認可申請のときの取調書(233)、おもな教員(244)
その後の教員異動(246)、入学試験課目参考書その他の届書(249)
中央大学(251)
英吉利法律学校の設置願書(251)、英吉利法律学校規則(260)
日本大学(265)

漢学・哲学などを中心に発達した大学(267)
二松学舎大学(267)
最初の願書(267)、五十号布連による開申書(271)
東洋大学(276)
哲学館の設置願(276)

その他の大学(283)
国学院大学(283)
駒沢大学(283)
学習院大学(284)

むすび(286)
帝国大学令の制定と私学(286)、私立法律学校特別監督条規の制定(286)
文部省令第五号(290)、特別認可学校規則の制定(291)
司法省指定学校(292)、私立学校令の制定と文部省訓令第十二号(292)
専門学校令の制定と私学(294)、大学令の制定と私立大学(295)
学校教育法と私立大学(296)

東京の法文系大学創業年表(298)
慶応四(明治元)年―明治二十三年
人名索引(巻末)
巻頭写真
明治初期の法律関係書
ミッチェル編モダンアトラスのとびら