史料の解読と読み下し例~八丈島と江戸(東京)

(史料出典:『明治二年 順立帳 六』)

【史料1】

与市帰島願_前半
与市帰島願_後半

解読文

  乍恐以書付奉願上候
一本湊町弥八地借八丈嶋織物渡世八丈嶋屋
 与市奉願上候、私祖父者八丈嶋三ッ根村当時
 地役人相勤候鉄之助、先々代長兵衛悴ニ而
 宝暦十二午年幼年ニ而出嶋仕、拾ヶ年程
 奉公稼仕、其後本湊町住居相定り八丈
 嶋屋与家号仕、年来八丈嶋織物渡世
 仕来冥加至極難有仕合奉存候、就而者
 祖々父長兵衛百回忌相当ニ付為報恩
 墓参且親類共江追々疎縁ニ相成候間、対
 面等仕度存候折柄、八丈嶋地役人一郎儀
 嶋々御会所江御船并雑穀拝借相願
 候処、御聞済ニ相成、当廿五日出帆仕候、君
 沢形御船江便船相願度奉存候、帰府
 之儀者八丈嶋之通船三艘之内江乗込
 当秋迄ニ帰宅仕度候間何卒格別之以
 御憐愍願之通御聞届被成下置候様
 偏奉願上候、以上
                         本湊町
                弥八地借
  明治二巳年三月廿一日   願人 與 市 印
               家主 弥 八 印
      東京府
    御裁判所
  

読み下し文

  恐れながら書付を以って願い上げ奉り候
一本湊町弥八地借八丈嶋織物渡世八丈嶋屋
 与市願い上げ奉り候。私祖父は八丈嶋三ツ根村当時
 地役人相勤め候鉄之助先々代長兵衛倅にて、
 宝暦十二午年幼年にて出嶋仕り、拾ヶ年程
 奉公稼ぎ仕り、其後本湊町に住居相定まり、八丈
 嶋屋と家号仕り、年来八丈嶋織物渡世
 仕り来たり冥加至極有り難き仕合わせに存じ奉り候。就いては
 祖々父長兵衛百回忌に相当たるに付き報恩のため
 墓参り、且つ親類共へ追々疎縁に相成り候間、対
 面等仕りたく存じ候折柄、八丈嶋地役人一郎儀
 嶋々御会所へ御船并雑穀拝借相願い
 候処、御聞き済みに相成り、当廿五日出帆仕り候君
 沢形船へ便船相願いたく存じ奉り候。帰府
 の儀は八丈嶋之通船三艘の内へ乗り込み
 当秋迄に帰宅仕りたく候間、何卒格別の
 御憐愍を以て願いの通り御聞き届け成し下し置かれ候様
 偏に願い上げ奉り候。以上。
              本湊町
                弥八地借
  明治二巳年三月廿一日   願人 與 市 印
               家主 弥 八 印
   東京府
    御裁判所