第4章 現行制度の運用状況と制度的課題

第4章 現行制度の運用状況と制度的課題

現行の行政系職員の人事制度は、昭和61年4月の改正内容を基本とし、その後に、行政専門職の設置や経験者採用の導入、管理職選考制度の改正などの改善・整備を行い、制度趣旨に則った公正で厳格な運用を行ってきた。
本章では、行政系職員の人事制度の運用の状況と、制度的な課題を明らかにしていく。
なお、技能系・業務系職員の人事制度については、平成8年度に大幅な改正を行い、現在、その制度が定着しつつある。将来の見直しは必要であるが、当面、現行制度の適正な運用を図ることとする。

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第1 採 用

1 類別採用

1. 制度の沿革

採用制度の基本である採用試験制度は、昭和44年度に、受験資格を学歴により制限する「学歴主義」から、年齢のみ制限し、検証能力を大学卒程度・短大卒程度・高校卒程度に区分する「学力主義」に改めた。
その後、社会における高学歴化を背景に、当初の想定学歴と著しいズレが常態化することとなり、昭和61年度に、それまでの試験区分をⅠ類・Ⅱ類・Ⅲ類という類別採用に変更した。さらに、平成6年度に経験者採用を開始し、現在に至っている。

2. 採用試験の状況

事務・四大技術(土木、建築、機械、電気の四職種)の採用者数の推移中で、類別に内訳をみると、事務のⅠ類は他の区分と比較して増減の幅が少なく、四大技術はⅠ類に重点が置かれた採用となっている(図表1-1-1)。また、採用試験の合格率の推移をみると、ここ数年は事務・四大技術とも、Ⅰ類に比べⅡ類の合格率が高くなっている(図表1-1-2)。
合格者の学卒区分の推移をみると、大卒以上の者の占める割合は、ここ98%前後、四大技術で93%前後となっている(図表1-1-3)。

3. 制度的課題

採用の類別については、高学歴化、少子化、採用需要数の動向、大学の飛び級制の導入など、上記の現状及び今後の環境条件の変化を踏まえた検討が必要である。また、職種の区分についても、職務の実態や技術の変化などへの対応を踏まえながら、採用後の任用との関連も含めて、検討が必要である。

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採用者数の推移(事務・四大技術)

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類別採用試験合格率の推移

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類別採用試験合格者の学卒区分

2 経験者採用

1. 制度導入の目的

平成5年度に、新たに経験者採用制度を導入した。その主な目的は、
ア 職員の年齢構成の不均衡の是正(昭和50年代の採用抑制により生じた年齢層の「谷」埋め)
イ 民間企業等における有用な職務経験を活かした都政の活性化
ウ 採用方法の多様化
である。このことから、受験資格を年齢29~33歳、民間企業等の職務経験を5年以上有する者と設定した。なお、採用職級は・類と同等の2級職である。

2. 採用の状況

平成6年度から事務・四大技術で採用を開始した。採用数についてみると、事務は平成11年度に増加したがそれ以前は横ばい、土木・建築は横ばい、機械・電気は平成9年度に半減して以降横ばいとなっている。なお、平成12年度は四大技術については採用していない。各職種とも、競争率は非常に高い(図表1-2-1)。
また、採用者の前職を業種別にみると、事務では金融・保険業が、四大技術では建設・不動産業が最も多い(図表1-2-2)。
採用者の平均採用年齢は、これまでの合計で、事務、四大技術ともに約31歳であり、民間企業等の平均経験年数も、事務、四大技術ともに約8年となっている(図表1-2-3)。

3. 採用者に対する評価

経験者採用者に関する所属課長へのアンケート調査結果をみると、これまでの合計では「採用者は期待したとおりの人材であった」が約95%となっている(図表1-2-4)。

4. 昇任選考の合格状況

昇任選考の合格状況をみると、主任級職選考(短期)では、事務・四大技術の合計で、全ての採用年次において、受験1回目での合格率が7割を超えている(図表1-2-5)。

5. 制度的課題経験者採用

制度的課題経験者採用については、制度導入後7年目を迎え、上記1.アの目的である年齢構成の不均衡の是正は、一定程度達成された。
そこで今後は、上記のような現状及び労働観の多様化など環境条件の変化を踏まえ、優秀な人材の確保をめざし、都庁を外部に開かれたものとするという観点から、経験者採用制度を見直す必要がある。

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経験者採用者数・競争率の推移

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経験者採用者の前職

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経験者採用の年度別平均採用年齢

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経験者採用者に関する調査結果

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経験者採用者の主任級職選考(短期)合格状況

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