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小笠原亜熱帯農業センター

平成13年度試験研究成果概要

1) 小笠原の気候を活かした優良品種の導入・収集・保存

(1) パッションフルーツの土産用鉢物化に向けた検討
開始年度:
平成12年度
担当者:
松本 剛 ・ 井川 茂※ ・ 菊池 正人(※井川 茂:現在 産業労働局西多摩農業改良普及センター)
目的:
小笠原では観光シーズンに土産物として農産物の需要が多い。さらに、出荷できる各種農産物が必要である。
そこで、4〜5月の連休に土産用の商品の一つとして、パッションフルーツの行灯仕立ての鉢物を検討する。
成績摘要:
1)蔓の伸長開始はそれぞれ2月下旬、3月上旬、3月中旬の時期として。また、鉢サイズは6号及び8号ポリ鉢とした。2月下旬、3月上旬、3月中旬の処理の順に、早い時期から開花が始まり、開花数も多かった。
2)4月下旬での結実数は、2月下旬区では3個/鉢近くあるのに対し、他では0〜2個/鉢であった。5月の連休販売では、2月下旬伸長開始が望ましい。
3)鉢の大きさの比較では、開花数、結実数、蔓長共に大きな差はなかった。土産の場合では購入後に持ち帰りを考慮すると小さい鉢の方が望ましく、6号鉢で十分である。
(2) 切り葉切花品種の特性調査
1.アランダの切り花生産の検討
開始年度:
平成10年度
担当者:
松本 剛
目的:
小笠原からの市場出荷は週1便の船に限られている。アランダ(×Aranda hort.)は花保ち、輸送性がよいので商品化できる可能性があり、小笠原での開花特性調査を行う。
成績摘要:
1)6品種('ノーラアルサゴフ'、'パニー'、'クーイチュー'、'イスカンダー'、'チャクアン・ブルー'、'クリスティン・アルバ')を導入し、素焼き鉢に支柱を立てて誘引した。鉄骨ファイロンハウス内で管理し、開花特性調査を行った。開花本数は各品種とも少なく、最多の'ノーラアルサゴフ'でも株あたり2年間に平均5.1本であった。全品種とも花茎長が短く、各花茎の花数も'ノーラアルサゴフ'が平均11で最大であった。切り花としてはどれも利用しにくい。
2)花茎本数が少ないことから小笠原でのアランダの切り花生産は困難である。
2.アンスリウムの生育特性調査 栽培培地の検討
開始年度:
平成10年度
担当者:
松本 剛
目的:
小笠原での栽培に適した植え込み培地と栽培法を検討する。
成績摘要:
1)供試品種は'キャンキャン'。用土として、ヤシの枯葉チップ、バーク堆肥、モクマオウ枯葉、調整ピートモスの4区、また、栽培方法は栽培枠に各用土を入れて定植、径18cmポリポットに各用土で鉢上げ、の2区とした。採花本数と仏縁苞の大きさは各区の間に差は見られなかった。
2)花柄の長さは、ヤシ枯れ葉チップ−ポリポット区と他の処理区に有意差が見られた。
3)ヤシ枯葉チップはバーク堆肥やピートモスと同等以上の用土として使えることがわかった。モクマオウ落ち葉は他のものに比べてやや劣った。しかし、ヤシの枯葉チップは分解が早いため容量の減少が早い点に留意が必要である。
4)今回の栽培期間において、栽培枠栽培とポリポット栽培では差は見られなかった。

2) 安定した生産技術の開発

(1) パッションフルーツの生産安定技術の開発
1.摘葉時期が果実品質に与える影響
開始年度:
平成13年度
担当者:
原島 浩一
目的:
パッションフルーツ栽培では葉が展開すると採光性が低下するため、管理上摘葉は必要な作業である。
ここでは、果実着果節における摘葉が果実品質に与える影響を検討する。
成績摘要:
1)処理区は、開花時摘葉区、開花1週後摘葉区、開花3週後摘葉区、開花6週後摘葉区、無摘葉区の5区。
2)各区とも、果実の大きさの推移・収穫までの日数・収穫果の糖度酸度には差がみられなかった。
3)収穫果の1果重は、開花時摘葉、1週後摘葉、3週後摘葉では、6週後摘葉、無摘葉に比べ約10g少なかった。
4)着果節における摘葉は、果実生育終期以後、または無摘葉が望ましいことがわかった。
2.施設栽培における側枝別の果実特性の把握  
開始年度:
平成11年度
担当者:
渋谷 圭助
目的:
パッションフルーツの着果状況と果実重量の関係について検討する。
成績摘要:
1)センター内鉄骨ハウスで電照栽培2株、非電照栽培2株について、開花日、果実重量、着果節位の茎径を調査した。
2)主枝から発生した側枝を側枝1、側枝1から発生した側枝を側枝2、側枝2から発生した側枝を側枝3とした場合、電照、非電照ともに9割以上が側枝1、側枝2に着果した。
3)側枝1は側枝2よりも太く、着果した果実の平均1果重は側枝1のほうが明らかに重かった。
4)開花は基部に近いほど早く、枝別では主枝、側枝1、側枝2、側枝3の順に早かった。
5)開花数が多い時期由来の果実は軽く、開花数が少ない時期由来の果実は重かった。
6)大玉のパッションフルーツを生産するために、枝を太くする管理方法と、養分の競合を防ぐ施肥管理技術等について検討する必要がある。
3.収穫法の検討
開始年度:
平成11年度
担当者:
渋谷 圭助
目的:
落下の衝撃がパッションフルーツに与える影響について検討するとともに、収穫時に果実を地面に落とさずに完熟果を収穫する方法について検討する。
成績摘要:
1)樹上で完熟させた収穫果を180cmの高さから人為的に地面に落とした場合、落とさなかった果実に比べ糖度が低く、酸度が高い結果となった。
2)パッションフルーツ棚のすぐ下に果実が地面に落下しないようにネットを張り、収穫作業時間、収穫個数、収穫時の状況について調査した。
3)ネットを設置しない区では48%が地面に落下したが、設置した区では、95%以上の果実がネット上で収穫され、さらに収穫時間、1果当たりの収穫所要時間ともに短かった。
4)以上から、棚下にネットを設置することで、95%以上の果実を落下による品質低下から守り、さらに作業時間を大幅に短縮できることが確認された。
4.新しい仕立て法の開発
開始年度:
平成11年度
担当者:
渋谷 圭助
目的:
パッションフルーツの収量増大を目的とした新しい仕立て法を開発する。
成績摘要:
1)支線が地上部180cm程度の位置に水平に設置される平棚栽培(慣行区、2株/50u)に対し、支線を地上部30cm程度の位置から180cm程度の位置までV字型に設置した2種類のV字仕立て区(A区:3株/50u、B区:4株/50u)について収量調査を行った。
2)1株当たりの収量は対照区が最も多かったが、面積当たりの収量はB区が最も多く、A区も対照区を上回った。
3)V字仕立てはパッションフルーツが繁茂できる面積が増加するため面積当たりの植栽本数が増え、収量が増加したものと考えられる。
5.施設栽培における収量・品質への影響 
開始年度:
平成11年度
担当者:
渋谷 圭助
目的:
パッションフルーツの施設栽培と電照栽培、露地栽培の収量・果実特性を比較する。
成績摘要:
1)施設内における電照栽培(電照区)、施設内における非電照栽培(施設区)、露地における非電照栽培(露地区)について収量および果実品質について調査した。
2)収穫開始は電照区が3月上旬と最も早く、ピークは電照区、施設区ともに6月上旬で、露地区は6月下旬であった。
3)収量は電照区が3.2t/10a、施設区3.1t/10a、露地区2.0t/10aであった。
4)果実品質では露地区の酸度が明らかに低く、電照区の収穫初期は糖度が低く、酸度が高かった。
6.花粉濃度が着果率および種子数に与える影響 
開始年度:
平成11年度
担当者:
渋谷 圭助
目的:
パッションフルーツの人工受粉時における花粉農度の違いが着果率および種子数に与える影響を把握する。
成績摘要:
1)石松子を用いてパッションフルーツの花粉を0%、25%、50%、75%、100%に調整して人工受粉し、自然交配とともに着果率、種子数、果実重量、殻重を比較した。
2)0%、25%においては着果を確認できなかったが、50%は64.7%、75%は81.3%、100%は93.9%と自然交配の54.1%より高い着果率を示した。
3)平均1果重は100%が最も重く、50%が最も軽かった。自然交配と75%はほぼ同じ値を示した。
4)種子数は100%が最も多く、50%、75%、自然交配には差が見られなかった。また、しいな数は自然交配が明らかに少なかった。
7.施設栽培における側枝別の果実特性の把握
開始年度:
平成11年度
担当者:
渋谷 圭助
目的:
平成13年6月に管内生産者圃場において、収穫された果実内に充実した種子がほとんど無く、しいなが大量に果実内に存在するという異常果が大量に収穫された。
そこで、パッションフルーツ異常果(しいな果:仮称)の発生要因について検討する。
成績摘要:
1)花粉の濃度を0%〜100%の5段階に調整し、受粉試験を行うとともに、異常果が収穫された時期から推測される開花時期の気象条件について検討した。
2)花粉濃度の違いは着果率には影響するものの、種子数を著しく減少させたり、しいな数を著しく増加させることはなかった。
3)開花時期の気象条件は、曇天日が多く、日照時間が例年に比べ大幅に少なかったが、周辺の生産者の圃場からは同様の症状の果実を確認することは出来なかった。
4)今回の試験からしいな果の発生原因を解明することは出来なかった。
(2) 特産野菜シカクマメの生態特性の解明
1.収量性および収量の変動状況
開始年度:
平成11年度
担当者:
吉原 恵子
目的:
シカクマメ栽培における問題は、栽培期間中の生産性が不安定なことであり、収量の変動要因について明確な把握がなされていない。
そこで、シカクマメ「ウリズン」の収量性および収量の変動状況を調査する。
成績摘要:
1)3月および4月に播種したシカクマメは、両者ともに日々の収量および収穫莢数が激しく増減し、増加した日と減少した日は、栽培終了時まで幾度も同日となる傾向がみられた。
2)定植時期を変えた場合の収量および収穫莢数の日変化をみると、収量増減日は一致する傾向がみられた。
3)播種および定植期を変えても、収量の増減が一致する傾向にあることが分かった。つまり、播種および定植期をずらすことにより、収量の減少する日を調整することは不可能であり、収量の平準化を確立することは困難であるものと考えられる。
2.開花および結莢をもたらす環境要因
開始年度:
平成11年度
担当者:
吉原 恵子
目的:
前報で、播種および定植期を変えても、収量増減日が一致する傾向にあることが分かった。また、栽培期間中、開花しても結莢に至らないことも多かった。そこで、収量の変動要因を明らかにするため、シカクマメの開花および結莢と環境要因(気温および降水量)の関係について検討する。
成績摘要:
1)収穫莢数と気温の関係について検討した結果、日最高気温よりも日最低気温の方がより強く開花および結莢に関与しているように思われた。
2)収穫莢数の増減と降水量の有意な関係は認められなかった。
3)シカクマメの収量変動の主要因は、開花時における気温が強く影響していると思われ、気温25℃程度下においてシカクマメの結莢が促されるものと思われた。

3) 亜熱帯性気候を活用したブランド農産物の生産技術開発

(1) トマト品質管理技術の向上及び包装・梱包方法の開発
1.トマトの船舶輸送にあった包装方法の検討
開始年度:
平成11年度
担当者:
吉原 恵子
目的:
6分着色のトマトを収穫後、常温輸送で品質を劣化させずに本土まで流通することを目的に、鮮度保持包装の実用性について検討した。
成績摘要:
1)供試フィルムは追熟制御フィルム「FHフィルム」、ガス制御フィルム「P―プラス」、防曇フィルム「FGフィルム」。
2)6分着色のトマトを各フィルムで密閉包装して段ボール箱(4kg箱)に入れ、インキュベータ内(20℃)で5日間保存した後に調査した。
3)P区は実腐りを伴う裂果の発生率が高く、FH区およびFG 区は10〜15%の割合で果梗部にカビの発生がみられた。
4)6分着色のトマトを鮮度保持フィルムを利用して常温輸送しても、鮮度を保持できなかった。
5)完熟期収穫に近い品質の「小笠原トマト」を本土まで流通させるためには冷蔵で貯蔵・輸送することが必要であると考えられた。

4) 環境に配慮した農業生産技術の開発

(1) 小笠原での土壌改良法の検討 リン酸肥料の細粒赤色土中での変化と施用法の検討
開始年度:
平成12年度
担当者:
松本 剛
目的:
小笠原では新規の造成地などでリン酸不足の土壌がみられる。各種リン酸資材の小笠原土壌での可給化状況を調査し、リン酸資材の施用基準を把握し、土壌診断に役立てる。
成績摘要:
1)未耕地の細粒赤色土(可給態リン酸:0mg/100g、リン酸吸収係数:990)を供試し、各資材(過リン酸石灰(粒状・粉状)、リン安系化成(リン加安)、苦土無重焼リン、蒸製骨粉、乾燥鶏糞)を混和し、25℃にて保温静置した。粉状及び粒状の過リン酸石灰、リン加安は速効、苦土無し重焼リンや蒸製骨粉、乾燥鶏糞は緩効的に可給態リン酸が現れた。
2)リン酸欠乏土壌への各リン酸資材施用によるリン酸の有効化率は、施用量が多い場合30%程度であった。土壌改良としての施用量は、リン酸利用率が30%程度として計算すると、可給態リン酸が0mg/100gの土壌ではリン酸として150kg/10a、10mg/100gではリン酸として90kg/10aとなる。
(2) 潮風害軽減技術の開発  防風樹の潮害耐性試験
開始年度:
平成10年度
担当者:
原島 浩一
目的:
小笠原では潮風害軽減対策が欠かせない。有望と思われる樹種について、潮害耐性を検討する。
成績摘要:
1)アレカヤシ、イヌマキ、ガジュマル、シマイスノキ、シマシャリンバイ、テリハボク、テリハハマボウに濃縮海水を散布した。
2)アレカヤシは枯死程度少なく生長も早かった。イヌマキは回復早く生長も早かった。ガジュマルは落葉多く、新葉発生しても虫害で落葉した。シマイスノキは供試樹種中、耐潮性中程度。シマシャリンバイは落葉多く、発生した新葉は全て奇形。テリハボクは落葉がほとんどなかった。テリハハマボウは落葉程度が大きかった。
3)潮害に耐性があるのは、アレカヤシ、イヌマキ、テリハボクと考えられた。
(3) アフリカマイマイの生態と防除に関する試験
1.第6回全島調査
開始年度:
平成11年度
担当者:
大林 隆司・朝長 信次・原島 浩一・吉原 恵子
目的:
3〜4年ごとに同じ手法で調査を行うことにより,本種の分布や密度の経時的な変化を明らかにし,生息状況を把握する(2001年5月14〜19日実施)。
成績摘要:
1)生貝発見地点率は,父島では前回(1998年,17 %)からさらに低下(10 %)したが,母島では50 %からさらに大幅に増加し80 %となった。
2)生貝発見効率は父島0.14個体/分に対し,母島1.41個体/分であり,計算上母島は父島の10倍の個体数である可能性が示唆された。
3)蔵卵個体は今回も母島のみで記録され,蔵卵個体率は前回の1.3%から5.3 %へと増加した。
4)以上より,母島では生息状況が1980年代半ばに近い状態まで回復しており,父島と母島では生息状況が全く異なってきていることが示された。
2.分布が限定された地域における「根絶」実験
開始年度:
平成11年度
担当者:
大林 隆司
目的:
分布が限定された地域で週1回捕殺中心の防除を実施し,根絶までにかかる時間などを把握し,今後の防除法開発のための基礎データを得る。
成績摘要:
1)面積の異なる2地点(51.0uならびに7.1u)それぞれの合計生貝採集数は307個体,171個体であり,また生貝個体数が0になるまでにそれぞれ16週間,8週間かかった。
2)各回の平均防除所要時間は2名で48分ならびに14分であった。
3)m2あたりの平均防除所要時間はどちらの地点も約14分であった。
4)降雨時には薬剤散布を行ったが,その後明らかに地点外から薬剤に誘引され,侵入した個体が認められ,このような防除はある程度まとまった面積で一度に行う必要があると考えられた。
3.一斉防除の効果判定(5月の全島調査のデータとの比較)
開始年度:
平成11年度
担当者:
大林 隆司
目的:
母島で年2回実施されている一斉防除の効果を,全島調査の手法・データを利用し,調査することで今後の防除の改善に役立てる。
成績摘要:
1)6月の第1回防除後には,防除未実施区域の生貝密度は防除前→防除後で2.90→2.70個体/分と変化がなかったが,防除実施区域では1.81→0.24個体/分と大きく減少した。また死貝密度も防除実施区域では増加し,防除の効果が認められた。
2)10月の第2回防除後には,防除未実施区域の生貝密度は防除前→防除後で2.90→2.70→3.11個体/分と大きな変化がなかったが,防除実施区域では死貝密度が増加したにもかかわらず生貝密度も1.81→0.24→0.79個体/分と増加した。これは散布方法や散布時期に問題があったことが考えられた。
(4) 一般病害虫に関する試験
1.小規模育苗におけるマメハモグリバエの物理的防除の検討
開始年度:
平成12年度
担当者:
菊池正人(現営農研修所)、金川利夫(現中央農改八丈支所)
目的:
育苗期の侵入・寄生を防ぎ健全な苗生産を行うことを目的として、寒冷紗被覆による試験育苗を行う。
成績摘要:
1)雨除けハウス内で育苗を行い、無被覆区は慣行の管理をした。被覆区は育苗床を1mm目合の寒冷紗で被覆した。父島では支柱を設置、母島では小トンネルを設置して被覆した。
2)供試品種'桃太郎8'。父島では播種9月11日、仮植24日、調査10月27日、供試数40株。母島では播種9月20日、仮植10月9日、調査11月1日、供試数15株。
3)被害株の発生割合は父島母島ともに被覆区では0%、無被覆区では父島28%、母島93%であった。
4)草丈は父島母島ともに被覆区が2〜3cm高かった。日中、ハウス内気温が35℃前後の時に、被覆区内は45℃前後であったことが、影響したと考えられる。
5)母島では'みそら'15株を供試して同様の育苗、調査を行った。被害株の発生割合は被覆区では0%、無被覆区では100%であった。草丈は被覆区が約10cm高かった。
6)被覆により草丈が高くなる傾向はあるが、顕著な防除効果があり、育苗時の被害回避に有効な手段であると考える。
2.ガジュマルのガジュマルクダアザミウマ対策試験 生態の把握
開始年度:
平成11年度
担当者:
大林 隆司
目的:
2000年に小笠原への侵入が確認された本種の小笠原における基本的な生態を把握し,今後の防除に役立てる。
成績摘要:
1)黄色粘着トラップによる調査では,2000・2001年ともおおよそ5・7・9・11月と約2カ月おきに誘殺数のピークがあり,特に5月の発生が多かった。
2)黄色など11色に対する色彩選好性を調査した結果,橙・黄・黄緑によく誘引され,赤・白・青などへの誘引は少なかった。
3)日中(8〜19時)の飛翔個体数を黄色粘着トラップにより調査したところ,9月の調査で本種は15時前後に極めてよく飛翔することがわかった。

5) 小笠原農業活性化をめざした施設栽培試験

(1) トマトサビダニの施設内での発生状況の把握と防除法の検討
開始年度:
平成11年度
担当者:
大林 隆司・井川 茂(現,西多摩農改普及セ)
目的:
1999年に小笠原への侵入が確認された本種の,小笠原の施設内における発生状況を把握するとともに,定植後から収穫までの省力的な被害防止法を検討する。
成績摘要:
1)本種の発生は12月中旬(定植1カ月後)から記録され,1月中旬以降多発した。
2)3種類の予防効果のある薬剤を交互に1,2,または3週間おきに散布したところ,無散布区では実験終了時(3月下旬)にほぼ全ての株で本種の発生がみられたが,散布区ではもっとも散布間隔の広い3週間おきの散布でも本種の発生は認められず,全栽培期間中の本種の発生を抑制できることが示された。
(2) 高所得型作付け体系の開発
1.トマトとパッションフルーツの混植について
開始年度:
平成12年度
担当者:
井川茂、渋谷圭助
目的:
パッションフルーツとトマトを混植した場合のトマトの栽培時期について検討する。
成績摘要:
1)処理区は、パッションフルーツ単独区、トマト12段まで収穫区、トマト7段まで収穫区。
2)トマト収量は、7段収穫以前まで両区の差はなかった。
3)パッションフルーツ収量は、単独区が最も多く、トマト7段区、トマト12段区が次ぎ、7段区と12段区の差が大きかった。
4)パッションフルーツの開花は2月下旬から開始した。トマト7段区収穫は1月上旬に終了した。
5)トマト在圃期間が長いとパッションフルーツ収量が減少することとパッションフルーツ受粉作業を考えると開花が始まる2月までにトマト栽培を終えることが望ましい。

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