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小笠原の自然

東京都の取り組み - 聟島列島のノヤギ排除・植生回復

聟島列島のノヤギ排除と植生回復

ノヤギが生息していた当時の媒島

聟島列島は父島から約50km北に位置し、聟島、媒島、嫁島などのいくつかの小さな無人島からなります。聟島列島は、かつては森林に覆われていたと考えられています。しかし、過去に食用として人によって持ち込まれ、野生化したヤギ(ノヤギ)により、植物が食べつくされ、土壌が踏みつけられ植生が破壊されました。森林は草地や裸地となり、一部では激しい土壌浸食が生じ、陸域のみならず海域の生態系にも大きな影響が及びました。こうした被害を食い止めるため、東京都は平成6年度から聟島列島などでノヤギの排除をはじめとする植生回復事業を開始しました。

ノヤギ排除の方法

ノヤギ

捕獲は単管パイプと魚網で作られた仮設の柵に人が追い込む方法と銃器を使う方法で行いました。

ノヤギ排除の経過

ノヤギの排除風景

媒島では、平成9年度から排除を始め、平成11年度までの3年間で合計417頭のノヤギを排除しました。嫁島では、NPOが主体となって排除作業が進められ、平成12年度から2年間に81頭が排除されました。聟島では、平成12年度から平成15年度までの4年間に940頭を排除しました。平成18年度に調査を行い、聟島列島でのノヤギの根絶を確認しました。

ノヤギ排除の成果

ノヤギを排除したことで、まず草本植物が増加しました。ノヤギが排除される以前は、草地はほとんど裸地に近い芝生状でしたが、排除後には草本の草丈や植被が増加しました。面積はそれほど広くありませんが、一部の裸地では草本が定着している場所もあります。また、以前はノヤギに食べつくされていたモモタマナやタコノキ、シャリンバイなどの木本種の稚樹が、ノヤギの排除後に出現するようになりました。シマザクラやオガサワラアザミなど一部の固有種も見られるようになってきました。植生の変化は緩やかですが、ノヤギが排除されたことで、植生の回復が進むことが期待されます。海鳥類では、クロアシアホウドリの繁殖数が少しずつ増加しています。

媒島の植生回復前
媒島の植生回復状況
抱卵中の成鳥ペア(媒島)

媒島の植生復元

植生破壊の主な原因であったノヤギを排除できたことは、聟島列島の植生回復に向けた大きな成果です。これからは自然の推移により植生回復が進むことが期待されるところです。しかし、植生回復に向けて依然として課題が残っています。 聟島列島の中でも特に植生破壊の激しかった媒島では、現在でも裸地が広く残り、土壌浸食が継続しています。土壌浸食の激しい場所では植物の定着が難しく、土壌流出が続く一方です。そこで、平成16年度に媒島の植生復元計画を策定し、媒島の土壌流出を抑制するための取り組みを行なっています。

媒島植生復元(谷止工)2005
媒島植生復元(谷止工)2011

これからの取り組み

東京都ではノヤギの排除に引き続いて聟島列島の植生回復を目指す取り組みを行っています。
媒島では、現在も続いている土壌流出を抑制するための取り組みを行っています。
ギンネムやタケ・ササ類などの外来種の拡大が課題となっています。そのため植生回復を阻害するおそれのある外来種の対策を進めています。
植生や媒島袋港の海底などの自然環境のモニタリングを行っています。

媒島のわずかな残存林(屏風山)
 
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