インターネットと人権

インターネット利用の光と陰 -便利なだけではありません!-

 インターネットは情報の収集や発信、コミュニケーションの手段として、私たちの生活を飛躍的に便利なものにしています。近年では携帯電話、特にスマートフォンの急速な普及に伴い、子供たちにとっても身近なものになっています。
 その一方で、インターネット掲示板への個人情報の掲載などによるプライバシーの侵害、特定の個人を対象とした誹謗・中傷や差別的な表現の書込み、保護者や教員の知らない非公式サイト(学校裏サイト)でのいじめなど、インターネット上での人権を軽視した行為が大きな問題となっています。
 また、インターネットを通じた誘い出しにより未成年者が性的被害や暴力行為にあうなどの犯罪に巻き込まれるという事例も多く発生しています。

 通常インターネット上では、名前や顔を知られずに情報を発信することが可能なため、むしろ現実の世界よりも人権を軽視した行為をしやすいと言えます。その上、情報は一瞬にして大勢の人に伝わってしまい、一度公開された情報は完全に消すことはできません。
 例えば、掲示板に人権を無視した情報を書き込まれた人は、周囲の人から誤解されたり、見ず知らずの人から電話が頻繁にかかってきたりするなど、日常生活に大きな支障をきたしかねません。さらには、精神的に深く傷つき、追い詰められ、職場や学校へ行けなくなったり、体の不調を訴えたり、自殺へとつながることもあります。
 書込みをした側も、掲示されている内容が悪質なときなどは、民事上の責任(損害賠償責任)、刑事上の責任(名誉毀損罪や侮辱罪等)を問われることがあります。

インターネットによる被害

インターネットと人権侵害

 法務省の人権擁護機関は、人権侵犯事件調査処理規程に基づき人権侵害を受けた方からの申告等を端緒に人権侵害による被害の救済を行っていますが、法務省によりますと、インターネットを利用した人権侵犯事件は、ここ数年高い水準で推移しています。
 平成25年中に新規に救済手続を開始した、インターネットを利用した人権侵犯事件数は、前年の671件を上回る957件で、このうち、プライバシー侵害事案が600件、名誉毀損事案が342件となっており、この両事案で全体の98.4%を占めています。
 また、法務省によりますと、これらの事件のうち、法務省の人権擁護機関がプロバイダ(インターネット接続業者)等に対し削除要請を行ったものは136件となっています。
 具体的には、何者かが被害者になりすまし、インターネットに被害者の顔写真等を掲載した事案について、法務局から所定のフォームにより削除要請を行った事案などがあります。

「平成25年における『人権侵犯事件』の状況について(概要)」(平成26年3月)(法務省)の 画像があります。詳細は以下のリンクで確認ください。

インターネットと子供の人権

 また、18歳未満の児童もインターネットによる危険にさらされています。
 最近は、「出会い系サイト」以外の、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)、ブログや、プロフィールサイトなどの「コミュニティサイト」を介して、18歳未満の児童が児童買春や児童ポルノなどの犯罪被害にあう事件が多くなっています。

「平成25年中の出会い系サイト及びコミュニティサイトに起因する事犯の現状と対策について」(平成26年2月)(警察庁)の画像があります。
詳細は、以下のリンクで確認ください。

インターネットにおける人権侵害事例

インターネットにおける人権侵害の事例を紹介します。

事例1 

 インターネット上の掲示板などのサイトに、個人や居住地、職業などを特定して、誹謗・中傷する書込みがされる事例があります。
 このような場合、名誉毀損の罪に問われることもあります。何より、誹謗・中傷された人々はどのように感じるでしょうか。その怒りや悲しみは推し量ることができないほど深刻です。

事例2

 インターネット上の掲示板などのサイトに、同和地区などと称して具体的な地域名が書き込まれる事例があります。
 また、地域名に関する情報を求める書込みがされることもあります。例えば、「同和地区を教えて」といった書込みです。
 このような情報をインターネット上に書き込み、あるいは尋ねることは、その情報が誤った認識を植えつけ、差別意識を助長するだけでなく、就職や結婚の際の身元調査等に利用されるおそれがあるなど重大な人権問題です。

事例3

 インターネット上の掲示板などのサイトに、犯罪被害者やその親族、交友関係などの情報が書き込まれたり、少年の刑事事件に関し、犯罪を犯したとされる少年の実名や写真が掲載される事例があります。
 興味本位で犯罪被害者などの情報が書き込まれることにより、犯罪被害者本人やその親族、関係者は、二重の苦しみ・悲しみを背負うことになります。
 また、犯罪を犯したとされる少年の実名などの公表については議論があるところですが、現時点では、これらのインターネットへの掲載は少年法の趣旨と相容れないものです。

人権を侵害しないために -インターネットにおける人権侵害を防ぐチェックポイント-

 インターネット上の掲示板やSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)などの利用に当たっては、常に書込みの相手や読み手に配慮することが大切です。インターネットの利用によって人権を侵害しないためには、普段の生活と同じように、他人に対する配慮が必要なのです。
 ルールやマナーを守って、加害者にも被害者にもならないようにしましょう。

差別的な発言や誹謗・中傷及び人権侵害につながる情報は書き込まない

 差別的な発言や誹謗・中傷の書込みは、現実の生活と同様に、許されることではありません。インターネット上の掲示板には匿名で書き込むことができますが、このことを悪用して差別的な発言や誹謗・中傷の書込みを行うことは人権上の問題があるので、行わないでください。
 なお、インターネット上の書込みは、「プロバイダ責任制限法」に基づいてプロバイダ(インターネット接続業者)等に情報開示を求めることにより、書き込んだ人を特定することができます。

うそや不確かなことは書き込まない

 本当でないことの書込みはもちろん許されません。また、不確かな情報やうわさを書き込んだ場合、その情報が独り歩きをして、正しいものとしてインターネット上に広まってしまい、想像もしない結果を招くおそれがあります。

なりすまし行為はしない

 特定の人物になりすましてインターネット上で身勝手な発言や活動をすることは、その人物の信用と名誉を著しく傷つけ、場合によっては名誉毀損で訴えられることがあります。
 また、IDやパスワードを盗み、他人になりすまして不正アクセスを行うことは、「不正アクセス禁止法」違反になります。

個人情報は書き込まない

 特定の個人の氏名や住所、電話番号などの書込み、写真の掲載は、プライバシーの侵害にあたります。書き込んだことにより、情報が悪用され、書き込まれた人に予想もしない影響が生じることがあります。
 また、自分自身の個人情報の書込みについても注意が必要です。

インターネット上の人権侵害への対応

 平成14(2002)年5月に、「プロバイダ責任制限法」(特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律)が施行されました。
 この法律に基づき、被害者がプロバイダ(インターネット接続業者)等に対して、インターネットの掲示板上の書込み記事の削除や、書込みをした者(発信者)の情報の開示を求めることができます。
 また、プロバイダ業界は、この法律に関するガイドラインを定めています(「プロバイダ責任制限法 発信者情報開示関係ガイドライン」、「プロバイダ責任制限法 名誉毀損・プライバシー関係ガイドライン」)。その中で、人権侵害の被害者本人からだけでなく、法務省の人権擁護機関(東京法務局等)がプロバイダ等に削除を要請した場合も対応することとされています。

もしも被害にあったら…

 インターネットの掲示板等で、プライバシーの侵害や、差別的書込みなどの人権侵害を受けた場合には、情報の発信者や情報を掲載している掲示板の管理人、プロバイダ(インターネット接続業者)等に、記事の削除要請や発信者情報の開示請求をするという手段をとることができます。
 この場合には、証拠として保存した掲示板等の内容を添付して、掲示板の管理人やプロバイダ等に連絡してください。
 または、東京法務局人権擁護部等へ対応について相談してください。
 インターネットの掲示板等への書込みの削除依頼の方法は、「掲示板等への書込みの削除を依頼するには」をご覧ください。

相談窓口

東京法務局人権擁護部

 相談電話: 0570-003-110 (みんなの人権110番)
 受付時間: 月~金 8時30分~17時15分
         祝日・年末年始を除く

警視庁サイバー犯罪対策課

 相談電話: 03-3431-8109
 受付時間: 月~金 8時30分~17時15分
         祝日・年末年始を除く

東京都人権プラザ

 相談電話: 03-3871-0212
 受付時間: 月~金 9時~17時 (毎週火曜日は20時まで)  
         祝日・年末年始を除く

こたエール (東京こどもネット・ケータイヘルプデスク)

 相談電話: 03-3500-5181
 受付時間: 月~金 9時~18時 土 9時~17時
         祝日・年末年始を除く
 インターネット相談(24時間受付)はこちら

啓発資料など

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