えせ同和行為について

えせ同和行為の排除のために

えせ同和行為とは

 「同和問題はこわい問題である」という人々の誤った意識が根深く残っていることに乗じて、何らかの利益を得るために、同和問題を口実として、企業や行政機関などに不当な圧力をかけることです。
 このような「えせ同和行為」は、これまでなされてきた啓発の効果を一挙にくつがえし、同和問題の解決に真剣に取り組んでいる民間運動団体に対するイメージを損ね、ひいては、同和問題に対する誤った意識を植えつける大きな原因となっています。

えせ同和行為排除のための講演会

 東京都は、東京法務局・東京都人権擁護委員連合会と連携し、毎年、企業担当者等向けに「えせ同和行為排除のための講演会」を開催しています。
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えせ同和行為の現状

 法務省人権擁護局が平成26(2014)年1月に行った、「平成25年中におけるえせ同和行為実態把握のためのアンケート調査」によると、回答のあった4,398事業所のうち、4.6%の事業所がえせ同和行為の被害を受けています。その主な内容は次のとおりです。

●「違法・不当な要求(要求の種類)」・・・(複数回答)
 1位 機関紙・図書等物品購入の強要(74.0%)
 2位 寄附金・賛助金の強要(12.3%)
 2位 講演会・研修会への参加強要(12.3%)

●「要求1件あたりの被害金額」
 1位 1万円~10万円未満(9.8%)
 2位 金額に換算できない(2.9%)
 3位 10万円~100万円未満(2.0%)

●「要求の手口」・・・(複数回答)
 1位 執拗に電話をかけてくる(55.4%)  
 2位 同和問題を知っているかと言っておどす(40.7%)
 3位 大声で威嚇する(17.6%)

●「要求の口実」・・・(複数回答)
 1位 同和問題の知識の不足(39.2%)
 2位 単なる言いがかり、無理難題(26.0%)
 3位 一方的に差別であると決めつける(9.3%)

※調査対象業種
 「建設業」「製造業」「卸売業」「小売業」「銀行業」「農業協同組合」「信用金庫・信用組合」「生命保険業」「損害保険業」「運輸通信業」「サービス業」「マスコミ業」の12業種から、全国9,000事業所を抽出し、調査(回答4,398事業所)

えせ同和行為への対応

 不当な要求に対しては、以下のような注意事項を参考に適切に対応することが大切です。

1  基本的姿勢
 えせ同和行為に対する基本的姿勢は、違法・不当な要求は断固として拒否することです。
 応ずることのできない違法・不当な要求を拒否するのは当然のことであって、たとえその要求が同和問題の名目で行われても結論は同じです。

2  こわいもの意識を捨てること
 同和の名の下に不当な要求をする者は、そのことによってもはや同和問題を論じる資格はないというべきであり、その者の要求行為はえせ同和行為そのものです。

3  初期の対応
 最初から一貫して、毅然とした態度で対応します。
 最初の対応の誤りが事件を拡大させるので、最初に相手にすきを見せたり、脈ありと思わせてはいけません。
 
 ◆具体的な対応の要点
  ・対応者は必ず2名以上とし、幹部職員が直接対応することは、差し控えます。
  ・相手方の氏名、所属団体、所在等を確認し、代理人と称する場合は委任の事実を確認します。
  ・「上司に報告するため」などの理由を言って、出来るだけ録音または詳細な記録をとります。
  ・対応は、こわがらず、あわてず、ゆっくりと丁寧にします。

4  安易な妥協はしないこと
 えせ同和行為者は、弱い者に強く、強い者には弱いという特性を持っています。したがって、安易な妥協をすると、さらにつけ込まれます。その場しのぎの安易な妥協は、火に油をそそぐ結果となります。
 例えば、えせ同和行為者は、刑事事件とはならないように金銭の要求を具体的には言わず、「誠意をみせろ」、「善処しろ」等と攻めてきますが、それに根負けして金銭で妥協してはいけません。

5  脅しを恐れないこと
 えせ同和行為者自身、刑事事件となることを怖がっているため、激しい言葉を発言しても実際に暴力的行為に出ることはまずないと言えます。また、仮に、暴力的言動があれば、かえって警察の要請、通報など法的手続が取り易くなります。

6  同和問題への取組を非難された場合
 同和問題への取組や同和研修の在り方を口実に不当な要求を受けたときは、相手方に対して、「法務局に申し出て、それが人権侵犯になるかどうか、また、今後どうすべきかなどについて、法務局の処理に委ねたい」と伝えることも一つの方法です。その後速やかに法務局に申し出るなどして体勢を整えます。

7  弱みを追及された場合
 弱みを追及された場合でも、密室での取引を排して、紛争の適正妥当な解決を図るための、正当な手続によるべきです。
 言いがかりの内容が仮に事実であるとしても、法的な観点から見れば、損害賠償を認めるには、故意過失の有無、賠償の対象になるかどうか、適正妥当な賠償額はどうかなどの検討を要します。したがって、それらの検討をしないまま、安易に相手の言いがかりを認めたり、謝罪的な発言をしてはいけません。
 事務上の過誤等の処理は、別個に正しい手続によって行うべきであり、それを口実にする相手方の違法・不当な要求に対しては、断固として拒否すべきです。

8  組織全体で対応
 えせ同和行為に対しては、組織全体で対応すべきです。支店等で不当な要求を受けた場合は、支店長が個人的に又は支店限りで、その要求に応ずるべきではありません。相手は、個人的又は支店限りの対応の不備等を口実にして本店に対して、より大きな要求をしてくることが多いので、本店に報告したり本店に指示を求めるなどして、組織全体として対応してください。

9  官公署の影響力が利用された場合
 えせ同和行為者は、企業に対して不当な要求をする場合に、その手口として、その企業の監督官庁等に連絡を取り、その官庁の企業に対する威力を悪用しようとすることが多くみられます。
 各行政機関は、都道府県単位の「エセ同和行為対策関係機関連絡会」への参加を通じて、えせ同和行為の排除に積極的に取り組んでおり、えせ同和行為者に加担することはないので、このような手口にだまされることなく、法務局に相談することが必要です。

10  民事上の法的手続
 えせ同和行為を受けた場合には、以下のような民事上の法的手続で対処してください。

(1) 内容証明郵便の送達
 相手方の行為が継続すると予想される場合には、法的手続をとる前に内容証明郵便を送達します。
 内容証明郵便には、およそ次のような事項を記載します。
 ① 相手方の行為が刑法上脅迫罪・強要罪・恐喝罪などを構成すること(あるいは民法上不法行為となること)。
 ② 弁護士に依頼済みのときは、今後の連絡は弁護士事務所あてにされたいこと。
 ③ 違法行為があるときは、断固として法的手続をとる意思があること。さらに違法行為が続く場合には、再度、調子を強めた内容証明郵便を送るか、又はその他の手続きをとる。

(2) 仮処分の申請
 不作為の仮処分(面談禁止、架電禁止、立入禁止、業務妨害禁止等)の申請を裁判所に対して行います。
 ※仮処分決定を得ることにより、禁止事項が明確になり、相手方の動きが止まる効果があります。

(3) 債務不存在確認の訴えの提起
 些細な誤りにつけこみ損害賠償請求を求めてくる場合には、相手に対して正規の手続に従い裁判上請求するよう促し、これに応じないときは、逆に債務不存在確認の訴えを提起するなど、紛争を裁判によって解決する方策をとります。

11  警察への連絡等
 警察は、えせ同和行為者の排除に積極的に取り組んでいます。
 現在、都道府県警察では、「企業対象暴力対策本部」等を設置して、暴力団やえせ同和行為者等に関する企業からの各種相談に対応しているほか、これらとの関係遮断に取り組む企業に対しては情勢に応じて必要な警戒を行うなど、関係者の身辺の安全を確保するための保護対策を実施しています。暴力団やえせ同和行為者等から不当な要求を受けた場合又は受けるおそれがある場合には、次のように対処してください。

(1) 警察本部(刑事部暴力団対策課等)、最寄りの警察署又は暴力追放運動推進センターに速やかに連絡を取り、対応等について助言を受けます。

(2) 緊急を要する場合は、ためらうことなく110番通報します。

12  弁護士への依頼

(1) 日本弁護士連合会は、民事介入暴力対策委員会を中心にえせ同和行為の排除に取り組んでいます。また、そのために各都道府県にある弁護士会に民事介入暴力被害者救済センターを置き、えせ同和行為者に対する対応について相談を受けています。

(2) えせ同和行為者は、かなり知能犯的な色彩をもっている場合が多いので、弁護士にもよく相談し、事案に応じてその解決を弁護士に依頼することも必要です。

13  法務局への相談
 法務局・地方法務局の本局及び支局では、えせ同和行為排除のための相談を受けています。必要に応じて、警察、弁護士会との連絡もとる体制を敷いているので、同和を口実に、不当な要求を受けたときは、法務局等に相談してください。
 (この注意事項は、法務省人権擁護局作成の「平成25年中におけるえせ同和行為実態把握のためのアンケート調査結果概要」及び『「えせ同和行為」を排除するために』から作成しました。)

Q&A

Q1 電話で同和問題に関する高額な図書を購入するように迫られています。どうすればよいでしょうか。
A1 同和問題に関する図書であっても、一般図書の購入と同様に考えればよいのです。「購入しない。」という意思をはっきりと伝えてください。
 購入を断ったにも関わらず、執拗に同和の名をちらつかせて購入を強要したとしても、あくまでも「購入しない。」と意思表示を明確にすることです。
 購入しない理由を言う必要はありません。その理由が争点となり、相手に口実を与える可能性があります。「検討する。」又は「予算がない。」などの曖昧な返事をするのではなく、毅然とした態度で「必要ありません。」とはっきり断りましょう。
 もし「検討する。」と言ってしまったら、「検討したが、購入しない。」とすぐ伝えてください。

Q2 図書の購入を断ったところ、「街宣車を持っていくぞ。」とか「今すぐそちらへ行くぞ。」などと怒鳴られました。どうすればよいでしょうか。
A2 相手も刑事事件となることを怖れているため、激しい言葉を発言しても、実際に実力行使に至ることはまずありません。もし暴力的言動があったなら、かえって警察への要請や通報など法的な手段が取り易くなります。
 対応される方は、相手を怖がらず、言動に注意して毅然とした態度で対応してください。

Q3 断ったのですが、それなら個人的に買えと言われ、つい「購入する。」と言ってしまいました。しかしやはり必要ありません。どうしたらよいでしょうか。
A3 一般的には「特定商取引に関する法律」(旧・訪問販売等に関する法律)の第24条(電話勧誘販売における契約の申込みの撤回等)が適用されます。
 電話での加入販売は、消費者が不意打ちで勧誘され、判断する時間もなく契約する場合があり、消費者を保護しなければ不公平なときがあります。そのための「消費者が一方的に契約をやめられる(申込みの撤回ができる)制度」が、「クーリング・オフ」です。申込みの撤回は書面で行うことが必要となります。なお、その際には内容証明郵便等で送付し保管しておけば、万一トラブルが生じた際に証拠になります。
 「購入する。」と言ったが、やはり不要なので購入したくないという場合は、次のような対応をしてください。

【まだ図書も契約書等も届いていない場合】
 内容証明郵便等の証拠が残る方法で、相手方に申込みの撤回を通知してください。

【届いた図書に、契約書等が同封されていた場合】
 相手から送られてきた図書に同封されている、クーリング・オフについて説明がある契約書等を受領した日を含めて、8日以内に申込みの撤回をしなくてはいけません。

【届いた図書に、契約書等が同封されていない場合】
 通常は、相手からクーリング・オフについて、契約書等の書面で知らされた日を含めて8日以内に、申込みの撤回をしなくてはいけません。ただし書面の交付を受けていない場合には、いつでも申込みの撤回が出来ることになります。
 しかし、法律上は上記の通りですが、現実問題として、後日トラブルが発生するおそれもありますので、図書を受領した日を含めて8日以内に、申込みの撤回をするのが良いでしょう。

※  送付された図書は、着払いで返送することも可能ですが、発送者負担で返送した方がトラブルを避けるためには有効です。
※  申込みの撤回は、書面を発送したときに効力が生じるため、発送日が客観的に証明出来るようにしてください。

<申込みの撤回の記入例>

                      契約解除通知書
 
 住所
 
 氏名 様
 
 平成○年○月○日に締結いたしました、「図書名」の購入契約を解除します。
 
 (図書の送付があった場合は下記を加える)
 なお、送付された図書は、返送しました。
平成○年○月○日

氏名又は会社名


Q4 「図書を買わないのは差別だ。」「理解が足りない。」などと言われました。どうすればよいでしょうか。
A4 図書の購入を断ることは、通常の商行為であり、差別ではありません。相手が執拗に「差別だ。」という場合には、「差別ではないと思うが、どのようにすべきか東京法務局などに相談する。」と言い、相談に必要だということで、相手の住所、氏名、電話番号等を聞いたうえで、東京法務局や人権部などへ相談してください。

Q5 同和問題に関する知識を試すような質問をされ、それに答えられないことで、同和問題への理解が足りないことや同和問題への取組を非難されました。どうすればよいでしょうか。
A5 日頃から同和問題について関心を持って理解を深め、相手に付け入るすきを与えないことが大切です。不正確な理解のまま誤った回答をしたりすると、そこにつけこまれ追いつめられてしまいます。
 対応にあたっては、相手のペースに乗らないようにして、同和問題への理解や取組を非難されたら「東京法務局などの公的機関に申し出て、同和問題の更なる理解のために、今後どうすべきかを相談したい」と伝え、東京法務局や人権部などへ連絡してください。
 なお、東京都では、広報東京都12月1日号で人権問題を特集し、同和問題等について都民へお知らせしています。また、同和問題に関する啓発冊子「明るい社会をめざして」を発行していますので、ぜひご覧になってください。

Q6 同和問題の理解のため、図書を購入して研修するよう迫られました。どうすればよいでしょうか。
A6 「同和問題については、行政が実施する行事等に参加し、必要な資料の提供を受けて理解を深めているので、購入する必要はない。」ときっぱりと断ってください。

Q7 同和問題に関する高額な図書が勝手に送りつけられました。どうすればよいでしょうか。
A7 一般的には「特定商取引に関する法律」(旧・訪問販売等に関する法律)の第59条(売買契約に基づかないで送付された商品)が適用されます。その結果、当該図書の引取りを相手方に請求してから7日間又は当該図書が送られてきた日から14日間が経過すれば、自動的に相手方は商品の返還請求ができなくなりますので、それを自由に処分しても差し支えないこととなります。たとえ「一定期間内に返事又は返送がなければ承諾したものとみなす」などの文言があったとしても、購入を承諾しない限り売買契約は成立しません。
 ただし、上記の期間内は、善良な管理者として保管する義務があり、所有者しかできない行為(書き込み等)を行うと、購入の意思があるとみなされ、相手方への支払義務が生じることがあります。
 また、法律上は上記のとおりですが、現実問題として、後日トラブルが発生するおそれもありますので、次のような取扱いをするのが良いでしょう。

(1) まず送り主と現物を確認します。

(2) 配達された際に開封せず「受取拒否」と記入し、持ち帰ってもらいます。

(3) もし受け取って開封した場合は、内容証明郵便等で、「購入の意思がない」旨を明記して送り返します。内容証明郵便等を保管しておけば、万一トラブルが生じた際に証拠になります。

【記入例】

 住所
 氏名 様
 
 平成○年○月○日に送られてきました「図書名」については、購入の意思はありませんので返送します。
 なお、今後はこのような一方的な送付はお断りします。
平成○年○月○日
住所
氏名又は会社名

(4) 送り返された腹いせに、執拗に購入を強要する言動があった際は、早め早めに警察や東京法務局に相談してください。

Q8 「同和問題の解決のため努力しているので、協力して欲しい。」といきなり言われました。どうすればよいでしょうか。
A8 まず具体的な内容を確認してください。そのうえで、例えば「図書を購入してくれ。」とか「賛助金をくれ。」などと言われた場合は、「必要ありません。」「お出しできません。」ときっぱり断ってください。
 さらに、「同和問題に理解がない。」「どのような協力ならやってもらえるのか。」などと言われた場合は、「東京法務局や東京都の指導等を受け対応したい。」と答えるのが良いでしょう。

Q9 同和を名のる団体から、「貴社が請け負っている工事に関して下請け業者を紹介したい」との電話があり、相手方と会う約束になっている。
A9 このような場合であっても、他工事の下請け業者選定と同様に考えればよいのです。貴社の意思をき然とした態度で伝えることが重要です。

Q10 具体的な工事名を挙げて、「請負業者名」や「現場代理人名」を教えるよう要求したり、当該工事の請負業者や現場代理人に対して、自分達から、あとで電話がいくことを伝えておくよう要求してきました。
A10 このケースの場合、「請負業者名」等を教えることにより、請負業者や現場代理人に対して「○○から紹介を受けた」という言い方をされる場合があったり、公表事項についてのみ電話で教えた場合にも、同様に悪用される場合があります。電話での問合せには直接答えず、原則として、ホームページや現場の掲示を確認してもらうように案内しましょう。

 (このQ&Aは、法務省人権擁護局作成の『「えせ同和行為」を排除するために』及び(財)暴力団追放運動推進都民センター作成の「暴力団対応ガイド」等を参考に作成しました。)

◇えせ同和行為に対する問い合わせ先

 東京都総務局人権部 03-5388-2595
 (公財)東京都人権啓発センター 03-3876-5371
 警視庁(総合相談センター) 03-3501-0110
 (公財)暴力団追放運動推進都民センター 0120-893-240
 東京法務局人権擁護部 03-5213-1372
 東京弁護士会 民事介入暴力被害者救済センター 03-3581-3300
 第一東京弁護士会 民事介入暴力被害者救済センター 03-3595-8582
 第二東京弁護士会 民事介入暴力被害者救済センター運営委員会 03-3581-2257