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企業の人権に配慮した取組み事例
3.障がい者雇用に積極的に取組んでいる企業
  
 障がいのある人も、ない人も、社会の一員としてお互いに尊重し、支え合いながら、 地域のなかでともに生活する社会こそ当たり前の社会であると言う考え方があります。これをノーマライゼーションといい、社会に広く定着させていかなければならない理念であり、雇用においても障がいのある人とない人が一緒に働くことが理想です。

 しかし、現状を見ると、残念ながら朝夕の通勤ラッシュや公共交通のアクセシビリティのため、また、バリアフリー化が充分に行き届いていない建物などが多く存在しているため、障がい者が都心の企業へ通勤することは容易ではない状況があります。

 こうした中で、積極的に障がい者の社会への参画を促す工夫を行い、実践している企業があります。

No.1 − 株式会社 日立製作所−
 
 株式会社 日立製作所の概要

 1910年、久原鉱業所日立鉱山付属の機械修理工場として、茨城県日立市に
て創業。1920年に会社組織として株式会社日立製作所を設立。
 創業以来、日立は社会や暮らしを支えるインフラづくりに力を注ぎ、情報
システムを主軸として、エネルギー・水処理・交通システム、ヘルスケアな
どを社会に提供し、「社会イノベーション事業」でグローバルに展開。
 資本金は4,587億円(2015年3月31日現在)
 売上高18,421億円、連結売上高97,619億円
 従業員数31,375名、連結従業員数333,150名(2015年3月期)

これまでの主な取組み


1981年  社内雇用促進(納付金・奨励金)制度制定
1999年   特例子会社 日立ゆうあんどあい設立
(→ 知的障がい者への取組み )
 2004年  日立製作所の障がい者雇用率改善に向けた緊急対策を開始
2005年 グループ会社の障がい者雇用率改善強化に向けた対策を開始
全盲の視覚障がい者の職域拡大と雇用創出
<実習生の受け入れ、新規採用、中途失明者の職場復帰支援等>
 2009年 厚生労働省「精神障がい者雇用促進モデル事業」に参画
<6名の精神障がい者を本社で新規雇用>
グループ会社における未達会社3年以内ゼロ化計画開始
精神保健福祉士を雇用して取り組む
 2010年  「日立グループ行動規範」を制定
 2013年  「日立グループ人権方針」を制定(5月)
 2014年  人権デュー・ディリジェンスへの取組み開始

人権の尊重
 日立は、人権問題を経営上のリスク管理における重要課題と認識し、従業員をはじめ、事業活動を行う国や地域、サプライチェーンなどを含む、すべてのステークホルダーの人権を尊重することを基本姿勢としている。

(1)人権方針の策定

  日立グループは、「日立グループ行動規範」を補完するものとして2013月に「日立グループ人権方針」を策定。本方針では、国際人権章典および国際労働機関(ILO)の「労働の基本原則および権利に関する宣言」に記された人権を最低限のものと理解し、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づく人権デュー・ディリジェンスや適切な教育の実施、日立が事業活動を行う地域や国の法令の遵守、さらには国際的に認められた人権と国内法の間に矛盾がある場合には、国際的な人権の原則を尊重するための方法を追求していくことを明確に定めている。
 人権方針の策定に続いて、人権問題に関する既存の仕組みや方針に「ビジネスと人権」の視点を追加し、日常業務に組み込むための手順をまとめた人権
デュー・ディリジェンスに関するガイダンスを作成した。
 今後は、人権リスクを特定し、顕在化を防止して問題が発生した際に適切に対処するための仕組みである、人権デュー・ディリジェンスを各部門やグループ会社に展開して行く予定である


(2)人権尊重の推進体制
 日立製作所では、人財担当部門役員を委員長として、営業、調達、人財、CSRなど各コーポレート部門の責任者が参加する「中央人権問題推進委員会」を1981年度に設置し、企業活動がステークホルダーの人権に与える影響を把握するとともに、人権侵害を未然に防止する仕組みや施策を審議。
 「中央人権問題推進委員会」が審議・決定した方針に基づき、日立グループ全体の人権意識の向上を図っている。審議の内容は、各社内カンパニー・事業所長を委員長とする「カンパニー・事業所推進委員会」を通じて全従業員に伝達し、人権侵害の防止に努めている

  また、部門ごとに人権推進リーダーを養成するほか、各事業所単位で、定期的に集合研修や講演会、映像による啓発活動を行っている。
 人権への取組みにグローバルな視点を取り込むために、世界6拠点(米州、欧州、日本、中国、インド、東南アジア)のCSR部門の意見や地域別の課題を集約し、人権意識を啓発する教材の開発を進めるとともに、人権デュー・ディリジェンスを、継続的なプロセスとして社内に定着させるよう取り組んでいる。


◆<参考>日立製作所ホームページアドレス  www.hitachi.co.jp


◆障がい者雇用
【日立製作所の障がい者雇用状況】(2015年6月1日現在)

     雇用率

日立製作所
(特例子会社 グループ適用会社8社含む)

 2.08%
 日立Gr全体
(対象⇒国内連結240社)
 2.14%

◆障がい種別雇用者数(日立製作所)

   障がい者  899名
    <内訳> ・身体障がい 701名 
           ・知的障がい 148名 ※
           精神障がい  50名 ⇒大企業としてはじめての取組み
            ※136名が特例子会社「ゆうあんどあい」で雇用

   主な配属先
    研究開発、製造部門、財務経理、資材調達、人事総務等

    具体的な従事作業として、人事総務部門の例
     ・社会保険関連業務
     ・人権啓発促進関連業務
     ・障がい者雇用推進関連業務等
     以上のような業務のほかに、各グループ会社や工場などでも、さまざ
    まな業務に従事している社員がいる。
   まずは、「実習」という形で会社に受け入れる。本人も周囲のお互い
   を
理解して業務に慣れることをしてみる形で準備し、採用する。



今回インタビューをさせていただきましたご担当者の皆さまです。
(左から)

人事勤労本部人権啓発グループ     専任部長 平沼一之さん
人事勤労本部労務・雇用企画グループ  主任 藤原 敏さん
人事勤労本部労務・雇用企画グループ  精神保健福祉士 五味渕律子さん
インタビュー内容(要旨)
 障がい者雇用には兼ねてより取組んでおり、特に地域の事業所等は特別支援学校との繋がりが深く、日立では聴覚障がい者の雇用は先行していた。
 1999年に特例子会社を設立し、知的障がい者の雇用を推進した。2003年度までは主に身体障がい者の雇用が中心であったが、単に法定雇用率の達成を目標にするのではなく、企業の社会的責任という意味でも、これまで難しいとされていた重度の視覚障がい者の職域開拓にスポットをあてて雇用を拡大した。
 前例のない重度視覚障がい者の雇用に対する職場の理解を進めるに際し、先ず人事担当者が行ったことは、大学や職業訓練校から紹介頂いた障がい者を「実習」という形で受け入れたことである。2週間の実習期間中に受け入れ職場内の業務を担いきちんと成果を出すことで社員の雇用不安を払拭し、目が見えなくてもスクリーンリーダー等の音声ソフトの活用によりパソコン操作が可能であることを理解してもらった。実習終了時の成果発表会では受け入れ職場以外の社員にも出席してもらい、実際にExcelの関数入力やグラフ、ピボットテーブルの作成等のデモンストレーションを行い、重度視覚障がい者の業務遂行能力の高さを多くの社員に認識してもらった。
 このようなことからはじめて、1人が入社し、その障がい者の仕事振りが評判になって、2人目、3人目と入社し、今ではグループ会社にも重度視覚障がい者の雇用が波及している。
 また、これまでは病気により中途で失明した社員は、仕事を継続する自信を失い、自ら退職していくケースが殆どであったが、現在では失明しても仕事は続けられることを本人のみならず、職場も理解するようになったため、退職せずに仕事を続けられるようになった。(中途失明者2名の職場復帰)
 2012年には盲導犬同伴の実習生を受け入れることになり、職場では当初、社員食堂の利用や盲導犬のトイレなど、万が一のトラブル等さまざまな心配があったが、実際に受け入れてみて何のトラブルもないことが分かった。
 これまで自らが接したことがない障がい者と関わるには相当な不安がある。手を差し伸べたいという気持ちがあっても、どうして良いのかわからないという社員が殆どである。人事や人権担当者が講義形式で説明してもなかなか理解してもらえない。しかし、職場で実際に一緒に働いてみてはじめて理解できるのだということに気づかされる。故に職場での障がい者雇用を進める為の一つの手段として、職場実習は大いに意義のあるものと考える。

 
<精神障がい者の雇用>
 雇用が難しい障がいではあるが、日立のような社会的影響力の大きい企業が率先して取組むべき課題のひとつとして認識しており、2007年から実習生の受け入れ等、実際に取り組みを開始した。
 2009年に厚生労働省から「精神障がい者雇用促進モデル事業」の認定を受け、事業の円滑な推進と、雇用した精神障がい者のメンタル面でのケアを目的に、専門職(精神保健福祉士)を雇用した。
 病状に波のある精神障がい者の雇用における課題は、「いかに症状を安定させ働いてもらうか」であり、その為には会社や職場の支援だけではなく、本人の就労に対する強い意欲や自立心も不可欠である。
 当初は、「仕事がない」「忙しくて余裕がない」「面倒を見る人がいない」「何かあったらどうする」「特例子会社でやるべき」等否定的な意見が多かったものの、実際に受け入れてみると、「真面目だ」「親切で優しい」「仕事を手伝ってもらってとても助かった。また仕事をお願いしたい」「新しいプロジェクトが発足するのでぜひうちの部署で雇用したい」など精神障がい者の雇用推進に肯定的な意見に変わっていった。
 これは実際に受け入れてみてわかったことであるが、職場に障がいを理解し接してくれるキーパーソンがいれば、心理士等の専門職がいなくても精神障がい者の職場定着を図ることができるのである。人には生来、「人の役に立ちたい」「困っている人を支えたい」といった優しい気持ちが備わっているものであり、その応援したい気持ちを育てて、一番身近な社内で実現してもらおうと考えた結果、『社内サポーター制度』を創設し、応募してきた志の高い社員に研修を実施したり、社内のホームページに応援メッセージを書き込んでもらったりしている。現在の登録者数は300人を超える。
 雇用された精神障がいのある社員たちは、「私生活にも新たな希望が生まれ、社会の一員としてさらに成長・自立できたという達成感が得られた」と言う。

 

<担当者の声> 
平沼さん
  私は、「人権啓発」を担当するようになって3年が経過しましたが、一番変わったことと言えば、人への対応がやさしくなったような気がしています。それまでの私は、大変失礼な言い方ですが、障がい者の方に対して「健常者と同じ様に仕事をするのは無理」だというマイナスイメージを持っていました。外国人なども同様に、言葉の障壁からネガティブになりがちでした。
 しかし、実際に障がい者の方や外国人の人々と接したり、さまざまな取組みや事例に出会うことによって、次第に意識がプラス方向へと変化していくのを実感するようになりました。
 日立は、「日立グループ人権方針」に則って、従業員への人権に関する教育や人権デュー・ディリジェンスのガイダンス作成など、さまざまな人権啓発への取組みを行っています。研修などを通じて、認識を深めることにより理解が進み、インクルーシブな社会づくりに貢献したいと考えております。


藤原さん
 私の場合、障がい者雇用のノウハウは机上やセミナーなどの座学よりも、障がい者自身との関わりの中から学ぶことがほとんどでした。障がい者雇用担当者として、仕事に向かう姿勢、モチベーション、さらには情熱といった一見個人の資質に起因するのではないかと思われるものまでが、実は障がい者と直に接したことで自分の中に培われていったような気がします。この分野を担当して11年になりますが、これまでに出会った多くの障がい者に成長させてもらったと実感しています。
 2018年の精神障がい者雇用義務化により法定雇用率のさらなる引上げが予定されていますが、「人を大切にする心」を経営の基本とする日立製作所の障がい者雇用担当者として、障がい者が生き生きと働ける職場環境づくりに引き続き尽力していきたいと思います。

 ◆五味渕さん
 日立グループの障がい者雇用推進業務を担当して6年になりますが、障がい者雇用を通じて社内外さまざまな人と出会い、人権問題を考える機会も多くありましたので以前より視野が広がったと思います。障がいがありながらも「働きたい」という本人の意欲と職場の配慮があれば働き続けることができるという可能性を実感することができました。
 障がい者といっても、目に見える障がいと見えない障がいがあり、同じ障がい内容であってもそれぞれの特性や求める配慮は異なります。障がい者だからという先入観ではなく、あくまでも一人の人財として共に働き続けることが大切だと考えています。一人でも多くの障がい者に活躍の場を提供できるようにこれからも障がい者の雇用拡大をめざして取り組んでいきたいと思います。

                                       ( 2015年11月掲載 )

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