東京都公文書館資料叢書 東京都域の歴史に関するテーマ別資料集

刊行にあたって

この度、『東京都公文書館資料叢書』を刊行する運びとなりました。

東京都は、明治44年以来刊行を継続してきた江戸・東京の歴史に関する基礎資料集『東京市史稿』の編さん事業を継承し、東京都公文書館において同書をはじめとする刊行物を作成して参りました。優に一世紀を超える『東京市史稿』編さんの過程では、多くの史料原本が収集されたほか、戦時中の文書疎開の際に廃棄される恐れのあった明治期の行政文書を守り抜くなど、今日の東京都公文書館所蔵資料の礎が形成されてきました。また、総点数184冊に及ぶ史料集は江戸・東京研究に欠かせない貴重な情報源となってきたところです。

しかし、明治末年の東京市を対象とする史料集という性格上、江戸周辺農村や多摩地域、島しょ地域の史料は限られた内容の物しか採録できませんでした。そこで、東京都公文書館の国分寺市への移転オープンの機に『東京市史稿』の編さん事業に終止符を打ち、後継事業として企画されたのが『東京都公文書館資料叢書』です。東京都公文書館所蔵資料を骨格として関連資料を精査し、江戸・東京の基礎資料を収録するもので、都域全般を収録対象として刊行計画を立てていきます。

創刊となる本書には、明治十一年(一八七八)に静岡県から東京府に移管された伊豆諸島に関する公文書を収載し、島しょ地域の歴史研究に貴重な素材を提供します。

『東京都公文書館資料叢書』の積極的な利活用をお願いいたします。


令和6年3月 東京都公文書館

最新刊のお知らせ

第1巻 明治初年の伊豆諸島

「明治初年の伊豆諸島」表紙「明治初年の伊豆諸島」表紙

伊豆諸島とは、伊豆半島東南沖の太平洋(フィリピン海)を南へ連なる諸島を指し、最北端の伊豆大島から最南端孀婦岩まで、九つの有人島と無人島、岩礁など合計一〇〇余りから構成される。有人島はいずれも伊豆諸島北部で、東京港竹芝桟橋から約一〇〇キロメートルの距離に伊豆大島がみえ、利島・新島・式根島・神津島・三宅島・御蔵島・八丈島・青ヶ島と連なっている。このうち、式根島は新島の属島、青ヶ島は八丈島の属島となっていた時期があるため、「伊豆七島」と称す場合もある。

本書に収録した史料群は、当館所蔵の江戸明治期史料である。その性格は、大きく二つに分類できる。まず明治初期、県・府の官員が伊豆諸島に渡海し、島々を巡って調査を実施した記録、もう一つは、当時の政府指針や巡島調査にともない、島内の村々が戸口や産業・風俗などを記録した大概帳の写し、いわゆる明細帳である。


4,140円(税別)
令和6年3月26日都民情報ルームにて販売開始

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